脚立のこと

 公開日:2002.08.21  最終更新日:2020.07.03

たかが数10センチ目線が高くなるだけで視界がグンと広くなる。人混みでも後頭部ばかり撮らなくてもいいし、下から見上げないから山車のバランスもよい。疲れたらイス代わりにもなるという便利この上ないモノである。

だが、私はこれがキライだ。あんなにかさばって邪魔な荷物を持って歩くのがイヤなのだ。第一周囲の人に迷惑でもある。混雑した往来で人にぶつけないように持ち歩くだけだけで神経を使ってしまう。混んだ所で使いたいのに、これでは痛し痒しなのだ。

かといって、持っていないわけではないし、年に1~2回は持ち出すこともある。潮干祭もそう。高い位置の彫刻を撮るのに便利だし、見物人も多いからだ。だがこの祭り、ご承知のように大店坂から山車が海浜を経由して神社に向かう。その間脚立は使わないので無用の長物になってしまう。
だから例年私はこのお荷物を某所に預ける事にしている。(正確には道沿いの目立たないところに隠しておくのだが)

ある年の事だがその場所まで戻るのが面倒になり、中切組のサヤ横に置いた事がある。通行人も多く目立つから、まさか盗られる事はないだろうと。
盗られても随分前に特売で1980円で買った安物だから苦にもならん。盗れるモノなら盗ってみろ!と

ところが、昼過ぎ山車とともに戻ってきたら無いのである。世の中せこくなったものだ。「まあこんなこともあるわい」とその日は過ぎた。

翌日は小雨が降ったりやんだり。天気にはお構いなく朝から動き回って夕方再び中切のサヤ前を通ると。。。。
見慣れた脚立が昨日の朝置いた位置にちゃんとあるではないか。誰か借用して戻したのだろうか。あるいはぞんざいに扱った脚立の精のいましめだろうか。

深くは問わないが、困ったのはこの後のこと。カメラを持って傘を差して、プラスここから脚立を持たなければならなくなった。いっそ来年の潮干祭までココに置いておこうと思ったがそれも現実的ではないようだ。