尾張名所図会

 公開日:2006.07.08  最終更新日:2020.07.05

『尾張名所図会』は「おわりめいしょずかい」ではない。「おわりめいしょずえ」と読む。
江戸末期から各地で盛んに刊行された地誌のいわば尾張版で、尾張各地の寺社や旧跡などの由緒などを紹介している。
天保9年(1838)に出版が計画され、まずは前編として名古屋城下と愛知・知多・海東・海西の下四郡を7巻にまとめて天保15年(1845)に刊行された。
編纂にかかった費用は枇杷島町の青物問屋野口直道が負担したが、その財産をほとんど使い果たしたといわれ、後篇の中島、春日井、葉栗、丹羽の4郡を紹介した6巻は愛知県が出版費用の援助を行い明治13年(1880)刊行されている。
また『尾張名所図会』の付録として嘉永6年(1853)に刊行されたのが『小治田之真清水(おわりだのましみず)』全8巻である。
いずれの巻もこの地方の伝説や史実、江戸時代末期の風俗を知るには格好の史料といえよう。

尾張名所図会前編全7巻

尾張名所図会前編全7巻

ガラにもなく小難しいことを書いているが、私にとってこの『尾張名所図会』の最大の関心事は東照宮祭・若宮祭・三之丸天王祭をはじめ各地の祭礼が挿絵とともに掲載されていることだ。
しかもこの挿絵は当代一流の絵師小田切春江(おだぎりしゅんこう)や森高雅(もりたかまさ)が描いたものだ。特に高雅は山車幕の下絵を多く描いており、彼の手がけた水引幕は現在も数多く現存する。
私の所有するのは付録を含め全21巻のうち前編の7巻のみだが、城下の祭礼は網羅されており、知多郡も含まれているので全巻揃える気などさらさらない。
ひょんな事から入手出来た『尾張名所図会』だが、さすが天保12年の書籍だから開けば江戸時代の香りがする。前回の明治43年の『名古屋祭』の比ではない。雨シミもあれば虫食いもあるのは致し方ない…我がお小遣いで購えるのはこの程度だろうから(^_^;)

掲載されている挿絵は全てモノクロ木版画である。これをスキャンしてデジタル化し、更に彩色してカラー化したら面白かろうとふと考えた。今思えば馬鹿なことを思いついたと思うのだが…
要するに「パソコン版塗り絵」と考えればいいのだが、考えるのと実際にやってみるのでは大違い。PhotoShopで少しずつ色を入れるのだが目は真っ赤になって涙はでるし、タダでさえ少ない睡眠時間は更に圧縮され、HPの更新にも影響しそうなのだ。
何とか『三之丸天王祭片端試楽』の1枚は完成したのだが、色数が少ないのは省力化の一環?
だが欲張って多色化するよりゴテゴテしなくてよいのかもしれない。まずは祭礼関係を先に手がけ、残りは余生のライフワークにしようか…

熱田南新宮社の大山を開いたところ

熱田南新宮社の大山を開いたところ

東照宮祭の七間町弁慶車

東照宮祭の七間町弁慶車

天王祭片端試楽

天王祭片端試楽

 左の彩色完成後

左の彩色完成後