第11回 匿名希望の力神さん

 公開日:2000.03.27  最終更新日:2020.07.14

  • 第11回 匿名希望の力神さん
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山車彫刻のなかでも実に多く取り上げられているのが力神です。
なかでも壇箱を支えて力んでいる持送りの力神が多く見られます。上の力神は、そのなかの一体ですが、おやおや可哀想なことに中指の爪がはがれていますね。私も経験がありますが、痛いんですよ、これは。
何もしていなくてもズキズキと疼くのに、力神は精一杯力を込めて壇箱を担がなければなりません。
絆創膏でも貼ってあげれば少しは傷みも和らぐのかもしれませんが、そうもいかないようです。
何か、力神さんがブツブツ言っているようです。聞き耳を立ててみましょうか。

『いてえよな。おまけに寒いんだぞ、何せ裸だからな。俺様は…』
『それでもって、俺様の出番は知多の山車祭りで一番早いとくるから、寒風がこたえるんだ!』
『もう指先の感覚などありゃせんわい。お陰で傷みも麻痺しとるがな』
『・・・おいっ!そこのお前。俺様の弱みなんか写真にとるなよ!俺様はな、力神って言うくらいだから一応神様なんだぞ。だから弱みなんか見せられねえんだよ』
『おい、おい、よせってのに!お前その写真いんたーねっととかいうのに載っけるんじゃないんだろうなっ!』

何だかうるさい力神ですね。怒られてしまいました。
この力神さん(匿名希望だそうです)来週の祭りに登場しますが、気温はともかく晴れにしてあげたいですね。昨年は2日間雨合羽着ていましたから。
あ。それからくれぐれも探さないで下さいね。もし偶然見つけてしまっても、そっとしてあげて下さい。もちろん指を差したりしてはいけませんよ。可哀想じゃないですか。(私が陰に隠れてチェックしていますからね。そっと後ろを振り返って見て下さい。睨んでいる人がいたら私ですから。)
(えっ、どこの祭りの山車ですかって?……………教えません!)