公開日:2010.04.01 最終更新日:2020.07.02
長久手の丘に愛知の山車百輛が勢揃いした愛知万博から早5年。
今年(2010年)開催される上海万博に1輛の山車模型が出展される予定です。
「童子車」と名付けられた山車は全高3メートルで、およそ二分の一の名古屋型の山車です。
その全貌をあらわしつつある3月中旬に仏具店の倉庫で行われている製作現場を訪ねました。
製作するのは「名古屋仏具研究会」のメンバー二十数名です。研究会は12年前に名古屋市中区橘町に店を構える仏具の若手職人で結成され、毎年合同作品を製作してきたそうです。
この橘町界隈は仏具を製作する職人が多く、それを全国に販売する仏具卸商や、仏壇店も多く軒を並べ、全国でも有数の一大産地です。
童子車
山車模型を共同製作するきっかけとなったのが刺繍職人であり、若宮祭「福禄寿車」の囃子方だった故磯村一男さん。
惜しくも昨年自宅での事故で他界されましたが、彼の意志を継ぐ研究会のメンバーによって製作が続けられています。
仏具や名古屋仏壇は木地師・塗り師・錺金具師・泊置師・彫刻師など数多くの職人の分業によって作られています。
山車を評して『数の大坂、質の名古屋、種類の江戸』」ともいいます。江戸時代から名古屋城下で曳かれた東照宮祭・若宮祭に代表される名古屋の山車は、これら熟練の職人による技術の粋でもあったのです。
そんな仏具や名古屋仏壇も安価な海外品に押されて売上が落ち、後継者不足が深刻とのこと。彼らはこの山車模型に挑戦することによって伝統技術と山車文化の継承、業界の復活を目指しています。
完成なった『童子車』は、上海万博日本館にて8月の名古屋市イベントステージでお披露目の予定です。
(山車模型の全高3mは日本館の天井に合わせて決めたとのこと)
今回の山車模型製作・組立には二番永田組の協力を得て、また名古屋型山車に無くてはならないからくり人形は萬屋仁兵衛師によって製作され山車に載せられます。このからくり人形に合わせた囃子は門池氏の編曲で万博会場で演奏される予定です。
(どなたか上海特派員として取材してきて下さいませ・・・・)
名古屋仏具研究会の皆さん
後部から
まだ車輪が装着されていません。車輪を付けると高欄に手が届くか・・・
右の写真今回はお話を伺った野依氏。
前棚高欄部
支輪部には蒔絵が入ります(これは下絵)
高欄の部材でしょうか
錺金具を透かして螺鈿が見える工夫と
楫棒ですが、まだ未加工
屋根です
兜金です.台輪木口を保護
破風板
屋根の虹梁
山車の錺金具は当然ハンドメイドです。(鍍金前の状態です)
車輪や輪懸、格子など細かい部材もまだまだ未完成です。
機会がありましたら、更に取材を重ねてご紹介したいと思います。
